「今日は種目決めしまーす。先生は職員室にいるから、決まったら呼びにきてねー」

先生が出て行くのを確認すると
いきなりざわつく教室。

(あたしは確か…障害物競走だったかな)

「石原」

「直汰…じゃなくて、羽瀬くん、どした?」

「何に出んの?」

「えっと、障害物競走かな、羽瀬くんは?」

「俺も障害物競走出るわ!」

(嬉しいけど確か…)

「直汰ー!お前は学級対抗リレーだかんな!」

「えええー!」

(やっぱり…)

サッカー少年で足の速い直汰は、毎年クラス代表だった。

ちなみに、宮っちもだ。

「石原と同じ種目がよかったのに…」

「なんか言った?」

「え、いや、別に」

本当は今バッチリ聞こえてた。

あの時のあたしは鈍感で不器用だったけど
今はもう、一度経験してるから
1枚上手っていうわけだ。

「羽瀬くんのリレー、応援してるから…」

直汰はそう言っただけで真っ赤になった。

直汰には申し訳ないけど
タイムスリップもいいかな、なんて思った。