冷酷な彼は孤独な獣医

震える唇をなんとか抑え、

大きな声で返事をすると、

龍はあたしを抱きしめる。


そして、なにも言わず落ち着いた笑顔であたしを見ると、

少し雑に頭を撫で手を握る。


「行くか」


そんな龍の手は、今までにないくらい汗ばんでいた。




「ねぇ、龍?」


「ん?」


「もしかして……緊張した?」


あたしの質問に、龍ははにかんだ笑顔をする。


「バレたか。必死で隠したつもりだったんだけどな。

ハハッもう少しで声が震えるところだった」


「嘘!そんなに?なんか……意外!」


「俺も、まさか自分がこんなに緊張するなんて思ってもみなかったよ」


「アハハッ」


あたしが笑うと、龍は眉間にシワをよせ、

薄目であたしをにらむ。


「いいか!誰にも言うなよ!

これは俺とお前だけの秘密だ」


「えぇ~どーしようかなぁ~?」


わざと意地悪を言うあたしに、龍は真顔で話す。


「もしも!どうしても誰かに言いたくなったら、

1人だけ言ってもいいヤツがいる……」



「えっ?誰?」
















「俺」













「…………」

「…………」









「「アハハハハッ」」








オレンジ色の夕空の下、あたし達の笑い声が街に響く。