冷酷な彼は孤独な獣医

痛みと怒りと恐怖の中、

あたしは美紀さんを思った。


こんな酷い暴力を、彼女は何度も受けている……


ようやく体を起こすと、

龍の電話がなり、それは美紀さんからだった。



「もしもし美紀さん……」


あたしが電話に出ると、

美紀さんはなにも言わず黙っている。



「…………」


「あのね、今、龍いなくて……

それで、お兄さんがウチに来て…」


「あたしの荷物持って行ったんでしょ……」


美紀さんが小さな声で話す。


「えっ?」


「見てたから……龍の家に行こうと思ったら、

高我の車が家の前に停まっていて……」


「そうだったんだ……

ねぇ美紀さん!今近くに居る?」


「うん」


「とりあえず、此処に来ない?」


「うん」