冷酷な彼は孤独な獣医

「アハハハッ」


龍はあたしを見て笑う。


「笑えないから!」


それからあたし達は、ワインを飲みながらいろんな話をした。




「ねぇ?龍は好きな場所ってある?」


「あぁ。最近はずっと行ってないけどな」


「それって何処?」


「此処からは少し遠いけど、

前に一緒に行った映画館があるだろ?」


「うん」


「あそこからずっと海の方に向かって……」



龍は穏やかな表情で話す。


そんな龍の横顔を、あたしはじっと見つめていた。



「それで、その坂を歩いて5分くらい上ると、

木と木の間から街の灯りが見えるんだ」


「へぇー」


「もっと高くて、視界をさえぎるものがない場所もたくさんあるんだけど、

俺はそこから見える景色がなんとなく好きで、

昔はよく夜に一人で行ってた」