冷酷な彼は孤独な獣医

ドンドンドン


ドンドンドン




「すみませーん!!ケガした犬をみてもらえませんかぁー!!」



何度も大きな声を出しながらドアを叩くけど反応がなく、


ふと敷地内を見渡すと病院の裏に家が見える。



自宅?



一階が駐車場となっているそこは、


どう見ても病院と繋がっていて、


ここの獣医の自宅だという事がわかる。



でも、窓の外から見る限り電気はついておらず、


誰もいない様子。



あたしはまた病院の前に行くとドアを叩いた。



ドンドンドン



「すみませーん!!」



すると、



あっ!!



ようやくドアの前のカーテンが開き、


目の前には背が高くて綺麗な顔をした男の人の姿。



うわっ……かっこいい………

この人が此処の動物病院のお医者さん?

そんな訳ないか。

まだ若そうだし、息子とかかなっ。




カチャッ


ガラガラガラ



男の人はドアを開けると

真顔であたしに言う。



「字が読めないのか?」