冷酷な彼は孤独な獣医

少し間があき、

ずっと伏し目がちだった美紀さんが顔を上げ、

真っ直ぐにあたしを見る。


そして口を開く。


「龍の事、好き?」


あまりにも唐突な質問と、

美紀さんのその綺麗な顔と声にたじろいでしまいそうになる。


それでもあたしは、どうにか気持ちを強く持ち、

はっきりと答えた。



「好きです。凄く」


あたしの言葉に美紀さんは、悲しい笑顔で話す。


「そう……なにかと難しい人だけど、

龍の事よろしくね」


そう言って、美紀さんはあたしに背中を向け歩き出した。



なにそれ……



美紀さんの言葉に、

あたしは無性に腹が立った。



"別にあなたにそんな事言われる必要ない!"

"龍の事をわかっているような言い方するな!"

"よろしくね?はあ?"



いろんな思いが出てくるのに、

でも……なにも言えなくて。


そんなあたしは、意外と小心者。