冷酷な彼は孤独な獣医

「言っておくけど、摩り下ろすのも細かく刻むのも、相当面倒なんだぞ」


あっ…本当だ……


「そうだよね……ありがとう龍……」


「はぁ?」


「あたしの為にありがとう!」


笑顔でそう言うと、龍はあたしの頭に手を乗せ、

いつになくやさしくほほ笑む。


「わかればいい」


いつもの冷たい表情と、

あまりにもギャップがあるその表情に、

あたしはドキドキしてしまう。


そしてこの笑顔は、あたしだけに向けられるものであって欲しくて……


でもきっと、美紀さんと付き合っていた頃、

龍は彼女に、何度もこんな笑顔を見せたのかもしれない。


それを思うと、胸が苦しくなった。