冷酷な彼は孤独な獣医

あたしは、バッグを持つと部屋を出た。


「おい!荷物は他にもあるだろう?」


龍の声が聞こえて来たけど、

それを無視してあたしは走った。



とにかく今はなにも考えられなくて、

どうすればいいのかがわからなくて。


そんな中、一つだけわかったのが、

人を好きにならない人を好きになる事が、

こんなにも辛いという事。


あたしはあてもなく歩き続けた。

それはまるで、涼太の家を飛び出したあの日と同じで。


帰る場所がなくて、悲しくて寂しくて孤独で……

これから先の事を考えると不安で仕方がなかった。



でも……あの時よりも今の方が辛いんだ。