冷酷な彼は孤独な獣医

「それは…」


あたしが話そうとすると、龍が口を開く。


「お前、貸す金がなかったから盗んだのか?」


「えっ…」




龍もあたしを……疑ってるの……?




すると、桐島さんが話す。


「とにかく返してもらえませんか?」


あたしは、龍に疑われた事がショックで、

頭の中が真っ白になった。



「なんでよ………龍…」



あたしは、待合室の椅子に置いていたカーディガンを手に持つと、

ドアの方へ向かって歩く。


「逃げるの!?」


桐島さんが怒鳴る。


あたしは、桐島さんの言葉を無視して龍の顔を見た。

そして、泣きそうになるのを我慢して龍に言った。


「誰に疑われてもいい!

でも……龍に疑われると傷付く!」


龍は冷めた目であたしを見る。


そんな目で見られているのが辛くて、

あたしはドアに向かって走った。


すると、後ろから2人の声が聞こえてきた。


「あっ!」


「おい!お前!」