冷酷な彼は孤独な獣医

瑞樹さんは、カウンターに肘を付くと何かを考えている様な顔をする。



「ねぇ、瑞樹さん?」


「なに?」


瑞樹さんは、肘を付いたままあたしの方に顔を向ける。


「どうして龍は、誰も信じられなくなっていたの?」



「これは前に美紀から聞いたんだけど、

龍の父親は酒癖が悪くて、

お酒を飲むと龍の母親に暴力を振るっていたみたいなんだ。


まぁ兄貴も父親に似たのかもね。


龍はそんな父親の事が憎くて、

中学に入るとボクシングを始めたんだ。


いつか父親から母親を守る為に。


それで喧嘩が強かったって訳だけど。


そして高校に入った頃、

龍は母親に暴力を振るう父親をボコボコにしたんだ。


ところが、母親はそんな龍を「恐ろしい子だ」って言って、

………龍を嫌った。


母親には嫌われ、父親には恨まれ、龍は孤独になったんだ」