冷酷な彼は孤独な獣医

「なんでもない……じゃああたし、この本買って行くね!」


「うん!じゃあ!」


涼太は軽く右手を上げると、あたしに背中を向けた。


少し前までは、すぐ近くにあっていつでも触れる事が出来たその背中は、

今はとても遠くて……触れる事すら出来ない。


きっと今、あたしが涼太にもう一度やり直そうと言ったら、

涼太はあたしの所に戻って来てくれるかもしれない。


でも………それは自分のプライドが許さなかった。



あたしは本を買うと、瑞樹さんの店に向かった。


店の前に着くと、定休日と書かれた札が戸の前に掛けられてある。




ガラガラガラ


「こんにち…あっ……」