まだ家を出てから数分だというのに、じんわりと汗が浮かんできた。 まだ5月だというのに一体どうしたことか。 日なたを避け、できるだけ影のあるところを歩こうと、俺は路地裏へと入った。 この時、もし路地裏に入っていなかったら。 もし、家を出るのがあと数秒早かったら。 俺の人生は、きっと変わっていただろうか。 でも、まさか空から人が降ってくるなんて誰が予想できる? そう、ふってきたのである。 人が。 空から。