トウマくんが、私を見つめた。 「…そうだったよな。 俺、覚えてるようで忘れてたかも。 最後の印象ばっかり強烈で、 最近はこの状態しか見てないから、 本当のこの人の姿を忘れてた…」 女の人がニヤニヤしながら言った。 「『この人』って…普段は何て呼んでるの?」 「坂下」 「名前を呼びなよ! なっちゃんのお父さんとお母さんがつけた名前だよ? 唯一残ってるものじゃない」