車を運転しながら、トウマくんが言った。 「お母さんの命日だから、お経上げてもらおう。卒業の報告もしないとな」 砂利の広場に車を停めて、 石の階段を登り、古い建物に着いた。 オバサンが出てきて歓迎してくれた。 重そうな建物の中に入ると、 小さなお爺さんがイスに座っていた。 「お父さん、坂下さん来ましたよ」 お爺さんは、目を細めて私を見た。