オトナになるまで待たないで

地響きがして、体が揺れた。


―じゃないですかあ…―


自分の泣き声の合間に別の声が聞こえてきた。


―助けて下さいよお!…このまま、ここにいたら死にますよお!!―


男性の声だ。


誰かが、泣きわめいている。


思わず叫んだ。


「青木さあああん!!」

夢中で階段をよじ登った。



―下にも誰かいるみたいですよ!?―


「青木さああん!青木さあああん!」


壁の向こうが静かになった。


壁の向こうで、戸惑ったような声がする。

―な、なに?―

―どこにいんの?―

私は叫んだ。


「青木さん!35番のペア席!」



―ペア席って言ってる?―

―35番て!?―


―なに!?―


「壊して!階段があるから、早く壁を壊して!」