『…沙織、つまり君は僕に干渉してる時点で優しさを与えるつもりはないと言うことか?』

「………それは、どうかしらね。」

多少の間を置いて、沙織はそう、口にした。
いつもより歯切れの悪い口調。
数年の付き合いだが、こんな口調は初めて聞いたらしく優は内心、驚いていた。

「人間、関わりを持たないことも、相手を傷付けないことも不可能なのよ、けれど、関わらずに傷付けるか。関わって傷付けるか。どちらが苦しく、経験が多いかなんて明白だわ」


少しだけ、考えるような仕草を見せて、目を合わせずに面倒そうに呟く沙織。