背中に回された腕……
私を今抱きしめているのは……一体、誰?
そう思ってしまうほど、すぐには現状を把握することができなかった。
数十秒後、ようやく今自分を抱きしめているのは透哉であるのだと実感する。
信じられない……
私が、透哉に抱きしめられているなんて……
「とう、や……?」
「東次郎も律子も……お前のこと、なんとも思ってないわけじゃなかったんだ」
背中に回された腕の力が……更に強くなる。
「え?」
戸惑うことしかできない私に、透哉は続けた。
「ただオレたちは、マヤには普通の幸せを手に入れてほしかっただけ。極道に伴う危険に……お前を巻き込みたくなかったんだ」
極道に伴う危険に……巻き込みたくなかった?

