極道一家のマヤ




ずるい……。


その言葉に……特別な意味がないことはわかっている。


それなのに、突風でも吹き抜けていったように心の中がザワザワと揺れる。


私に特別な感情なんてないくせに、どうしてそんな言葉が吐けるのか……


人一倍綺麗な容姿の持ち主で、その上好きな人にそんなことを言われたら、誰だって揺さぶられるに決まってる。






私は美都場が好きだ。ずっとそばにいたいとも思う。


それなら、『龍』にではなく、『嵐』の仲間になったほうがいいのかもしれない。


だけど……


その選択が本当に自分にとって最善なのかは、はっきりと断言することはできない。


だって、もしも近い将来、美都場と桜の想いが通じ合ったら……私は心から、ふたりのそばで「おめでとう」と言うことができるのか、祝福できるのか……。


『嵐』を選んで、もしかしたら待っているのは……哀しみ。


それだったら『龍』を選び、美都場とは距離を置いたほうがいいかもしれないし。


まあ、クラスも一緒で席も前後だから、それは無理だと思うけどさ……。


なんて、考えていたときだった。