「そういえば、雛。去年の夏、熱中症患者が過去最多だったわね。その内の何人かは雛に救われたわけね」
「救っただなんて、大丈夫ですかって冷たいものをあげただけだよ」
「内一人は、救急車で運ばれる重症だったんだから、救ったに違いないわよ。思い出すわね、何故か救急車に同乗しちゃって、『紅葉ちゃん助けて!知らない病院(場所)に連れてこられて、帰れなくなったーっ!』と号泣して、電話してきたことを」
「言わないでっ、恥ずかしいよっ」
顔から火が出そう。紫暮さんに恥ずかしいこと聞かれてしまったと反応を窺えば、何故だか顔を伏している。
「し、紫暮さん?」
顔を見せられないほど、笑われている!?
「作り話なんでしょー」
「悪意のニヤニヤ顔で言わないでもらえるかな。そうだよ、作り話だ。作り、話で」
「ロマンチックな話でしたね」
「……」
「真に受ける天然がとどめを刺す、と」
「いいんだ。雛はもう、俺なしじゃ生きられないようだから」
頭に手を置かれる。結婚式の誓いのように、見つめられた。
「俺が死んだら、雛も来てくれるってことだろ?」
「は、はい」
聡明な笑顔で即座に返事をしてしまった。
真向かいの紅葉ちゃんは、娘はやらんと叫んでいるけど。
「紫暮さんのこと、大好きですから」
何があっても、愛し続けます!


