「彼女は、中年の男に絡まれていた。自然と体が動き、助けたのは当たり前。でも、涙目の彼女を見て思った。俺が守らなければならない。使命感であるそれは、紛れもなく愛情。彼女にしかない思いであり」
ひゃっ、大変なとこに触っちゃった!
「加え、『助けてくれてありがとうございます。知らない人に声をかけられて、私、どうしていいか分からなくて。あっ、あなたも知らない人ですが、話しかけられても困ったとか怖いとかないんで、誤解なさらないで下さい!』と言われた瞬間に、彼女の中隅々に俺という存在を刻み込んでやろうと思えたね」
「写真持って行かないで下さいよーっ」
せっかく取れそうだったのに!
「雛の可愛さと、あんたの話のどっちに集中すればいいか分からなかったわ。というか、写真は返しなさい。あたしに!」
「私の写真だよ!」
「仲いいねぇ、本当に」
返された写真。ほっと一息つきながら、バッグにしまっておく。
「雛のスマフォのパスワードは、さながら初めて出会った日とかだったんでしょう」
「さあ。そこまで君に言う必要はないし、今の話も作り話かもしれないよ。俺、雛以外の奴には適当なことしか言わないから」


