ヤンデレなら、病んで下さい!


ヤンデレの話になると、紅葉ちゃんは必ず拳を作って熱く語る。本当に好きなんだなぁ。

「対象に意識されないからって、つきまといだの嫌がらせだので振り向かせる。または、私利私欲と性欲のために行う犯罪ストーカーとは、まるっきり異なるヤンデレトーカー。全ては対象を守るために。それならいっそ、隣を歩きたいけど、『彼女も俺がいない時間が欲しいだろう』とその事実に思い悩みながらも、彼女の意思を尊重しようと陰からその自由な時間を守ろうとする一途な健気さに、くうぅっ」

ビール飲んだ後のアクションされてしまった。おっさん紅葉ちゃんだ。こんなに美人さんなのに。

「くっ、ぞくぞくする!そんなヤンデレトーカーがいつしか、『自分がいなくても彼女は生きていける』ことに打ちひしがれて、どんどん病んでいくのかと思うとーーっっ、ちょっと、あんたの彼氏をより病ませてみない?」

「し、しないよ!私は紫暮さんいなきゃ、生きていけないと思う、もん」

どこからか、飲み物を咽せる音がした。

大丈夫かな、と思う前に、紅葉ちゃんが手帳を出す。

「ヤンデレトーカーほいほい」

「へ?」

手帳から一枚の写真を取り出す紅葉ちゃん。どこかで見覚えあると思ったら。

「いっけなーい。高校時代の雛(ブレザー)写真を落としちゃったわー!」

と、言った後に落とされた。

「も、紅葉ちゃん!」

慌てて、床に落ちた写真を拾おうとーーする前に、長い指先が伸びてきた。