「つーかお前、さっきから何一人で考え込んでんだ?」
「そうだよ、気持ち悪い」
「うるせぇ!お前らに俺の何が分かる!俺は今までわかりやすーく説明してたんだよ!」
「「何を?」」
「色々だ!」
「「……?」」

納得いかないのか2人とも俺の方を睨むように見てくるが無視だ無視。こういうのは無視に限る。よく言うだろ、怖い人に話しかけられそうになったら無視して走って逃げなさいって。俺はそれを実行しているだけだ。

俺がそう心の中で一人「うんうん」と頷いていればふと、諒也が思い出したように声をあげた。またどうせ可愛い女の子でも見つけたのだろうと俺が半分話を聞き流すモードに入る。ふと薫の方へ顔を向ければそちらも同じく聞き流すモード。どうやら考えている事は同じらしい。それも当然だ。ここ1週間の付き合いではあるが諒也の話はだいたい重要じゃないという事が判明している(薫もまたしかり)。だから俺は半分話をいつも聞き流す事にしている。よく考えれば可哀そうな話である。

だが今回の諒也の発言は俺と薫の想像していた事とは違い、それなりに大切な事であった。

「あ、そういえば今日からじゃなかったか?」
「何が」
「ほら、あれだよあれ!部活動の体験とか仮入部!」
「あぁ~、そっか。そういえば今日からだったな」
「すっかり忘れていたよ」
「だろ?俺も」

諒也の言葉に俺と薫が今朝、確か先生がそんな感じの事を言っていたなーとやんわりと思い出す。まぁ先生の話なんてほとんど覚えていないに近いのだがそこは触れちゃいけないゾーンだ。