真面目君と嘘つき女

耳元で聞いてきた。

うっ、酒臭い……。


なんか、顔面いかつくて30代後半だからただの飲んだくれのおっさんじゃない。

そんな人が酒臭いとか不愉快ですし耳元で話されて吐息が当たって気持ち悪い。


「ですから、私はお嬢ちゃんじゃありません。それに私死ぬのは怖くないんです。まあ、だからと言って──」


そして私は袖からカッターを取り出して相手の足に刺した。


「簡単に死ぬ気もありませんけどね」

「お、お前何したかわかって……」