真面目君と嘘つき女

もし他人だったら……。


「かわいそうと思うかもしれない」

「なぜですか?」

「誰にも頼れず、誰かが助けてくれるわけでもなく、でも死ねないからそうするしかなかったのかと」

「咲来さんはそうなんですね。つい最近まではきっと私あなたに「綺麗事は言わないでください」っていっていたかもしれません。いえ、言っていました。それでも言わなくなったのは彼のおかげですかね」

「彼?」

「私の学校の先輩なんですけどね、その人私にいつも“綺麗事理論”を話してくるんです。誰が決めたわけでもなく、その人の自分の考えを言うんです。最初は綺麗事とか私も言ってたんですけどずっと聞いてたらなんか、それもいいかな、なんて思えてきて……」

「好きなの?その人のこと」