真面目君と嘘つき女

こめかみに一発。それで終わってくれないだろうか。


それともボコボコに痛めつけられた後に殺られるのだろうか。



あ、一応お父さんにメールなり電話なりで“私が死んだ時は伊藤組”とだけでも伝えといた方がいいだろうか。


「……何か勘違いしてる?」

「いえ、勘違いしてません。私は生まれ変わるのです」

「何その蝶になる前の虫のセリフみたいなの」


そう言って昌さんは口元を隠しながら笑っていた。