美夜もお人好しだな、


関わりもねー、奴がかつあげされてたり

病気でからかわれたりしてるからって

助けるなんて...




「美夜らしいよな」





俺の言おうとしてた言葉を康平がいった。




「てか、病院いかねーでいいのか?」




龍がそうゆったと同時に

俺のけーたいが鳴った、電話だ。




誰だよ、こんなときに。



そう思いながらポケットからけーたいをだした。







美鈴さん




美鈴さんって... 美夜の母さん!








『はい、もしもし』



「あ、流ちゃん、美夜ね、今病院なのっ」






酷く動揺していた。






『はい、病院にいることはわかります』


「えっと...それでね、えっと..あっ..」







ん?






「もしもし?流か?」






美夜の父さんだ。

母さんは動揺してるから変わったんだろう。






『はい、流です。』


「美夜のことは知ってるな?」


『はい』


「病院は近くの南米里病院だ。」


『はい』


「俺たちの代わりに美夜を見守ってくれ」


『言われなくても見守りますよ』


「はは、頼もしい彼氏じゃないか」






美夜のお父さんは安心したように笑った。






「美夜を任せたぞ。」


『はい』


「じゃあ、落ち着いたら連絡してくれ」


『わかりました』


「じゃあな」


『失礼します』






俺は電話を切った。






「美夜の親からか?」


『ああ、南米里病院にいるらしい』


「おし、行くか」







みんな立ち上がり、校門へと足を向けた。








「まっ..て...」






今のへんな声は...ああ、おじさんか。






「どうしたんだ?ヒカル」






将生がヒカルの座るベンチのまえにいき

ヒカルに視線があうようにかがんだ。





「ぼく...も..いく...」





俺を見ながらヒカルは喋りずらそうに

でも精一杯言っていた。





なんで、こいつが美夜に会うんだよ。

お前のせいで美夜はケガしたんだぞ、ふざけんな。


ただ、俺はそう思った。





『おねが...い..ありが..とう...する..』





ーーーーーーー予想外だ。




礼がいいたいだけか。



こいつ、障害とか病気とかおじさんとか

馬鹿にされてるけど、


美夜にケガさせた

あいつらよりは、全然マシだな。



いや



マシじゃなくて、普通の人間より、



出来た人間だ。

















俺たちは校門へあるきだした。




後ろを向けば、

ベンチに座りこちらを見るヒカルがいた。









『来いよ、行くんだろ、病院』








そう言うとヒカルは、笑って

俺たちのところへ軽く走ってきた。













ヒカルは何を見てるのだろう。






その身長で、その小さな頭で、小さな手で

小さな耳で、小さな足で



なにを感じ、なにを思っているんだろう。


いままでなにを考えて生きてきたのだろう。





俺たちは入学式を忘れ、みんなで病院へむかった。







太陽がぽかぽかと温かく



ふわりと心地好い風か流れていた。