血だらけの右手を水道で洗った。


美夜はもう病院にいると保健室に様子をみに

いっていた新がいっていた。





普通に喋れていて、大丈夫だよ、と笑っていた

と聞いて少しは安心した。








ところで俺にはさっきから気になることがある。







『なぁ、将生』


「なになに?」


『お前の隣にいるちっさいおじさん誰?』


「ん?あ、輝のことね~」


『ヒカル?』


「そんなことより、康平から全部聞きなよ」






そうだ。おじさんより、美夜の話だ。






『康平、話してくれ』


「長くなるけど黙って聞けよ?」


『わかってる』







美夜は遅刻ギリギリで


正門まで行くよりフェンスを登る方が体育館に

はやく着くから、フェンスをまたいだ



そのまたいだ場所がちょうど

この倉庫の近くのプレハブ。




美夜が急いで体育館に行こうとすると

なにか、男の声が聞こえて


ドアの隙間から見てみると



かつあげをしている声が聞こえ



しかも、かつあげだけじゃなく

酷い暴言も言ってたらしく、美夜は

ドアをあけて、そいつら男三人に怒った。



それに逆ギレした男三人は美夜にバットで

肩を殴り、その勢いで割れた窓ガラスが

腕に刺さり、頭を強く壁に打った。



ちょうど

フェンスをまたぐところを康平たちは見てて

体育館にも居ないし、LINEも返事がないと


またいだのを見たフェンスの近くで

美夜を探していたら

ちょうど美夜が倒れているのを見つけた。







そう康平は話してくれた。






『そのかつあげされてた奴は逃げたのか?』




「逃げてねーよ」






将生は笑って隣を指差した。






「ほら、輝いるよ、逃げてねーよ」





指をさした方向にいるのは

ちっさいおじさんだけだった。





『意味わかんねーよ、真面目に話せ』


「輝がかつあげされてた奴だよ」


『は?こんなちっさいおじさんが?』


「うん」









なんでおじさんのくせに高校いんだよ


いい大人が高校生にかつあげされんなよ


なに女に助けてもらってんだよ




言いたいことはたくさんあった。


でも将生の顔を見ればわかる。

なにか言いたげな顔だ。





『将生、話したいことあるなら言えよ』


「さすが、流!」






将生はペラペラ喋りだした。








このちっさいおじさんは俺達と同級生。


年齢も同じ。


早老症という病院で、見た目が歳以上に

老けてみえるらしい。


桜眞中学という、障害者学校から来て

たくさんのいじめ、偏見にあってきた。








名前はーーーーーー






新山輝。




そう、この輝(ヒカル)は俺の人生を変える。