笑ってほしい



「そのこと怒ってるの?」


「当たり前でしょ!
誠治とどうなろうと
私は構わないけど
薫乃がいなくなるのは
絶対に嫌だからね。」


ゆか…。


ゆかの言葉に胸が熱くなる。


「でもね、親にも帰ってくるように言われてるの。」

この間親からメールが来て、親の会社ですでに私のポストが用意されているらしい。

「だけど薫乃、あんた本当は日本にいたいんじゃないの?」


「そりゃいたいけど、いたいだけじゃ親を説得できないよ。」


ここにいるだけの、親を説得できるだけの理由が今の私にはない。

日本の高校に行くっていうときだって、とてつもない時間をかけて説得したのだから。


これからこっちで生活していく、なんて言ったら反対されるに決まっている。

そしてそこから説得していては、高校を卒業している頃になってしまう。


それなら今を楽しむ時間に使いたい。