seasons.(シーズンズ)【完】

私の意地が相当気に食わなかったらしい。
憤った芳賀さんは「ちょっとついて来て!」と私の腕を鷲掴みして、椅子から無理矢理立ち上がらせた。
その拍子にバサリと床に落ちた小説の本。
見開かれたページに偶然あった“友達”の単語が、目の奥に突き刺さる。


「ちょっと夏枝どこ行くの~?」
「加奈達は待ってて!」


同じ女の子なのに、芳賀さんの腕を握る力は私じゃ到底振り払えないもので、されるがままにつれてこられたのはF組の教室だった。
他のクラスであるにも関わらず、何の抵抗もなしにズカズカと足を踏み入れる芳賀さん。

昼休み中なだけあって教室内はどこのクラスも似たような空気を持っているらしく、このF組も騒々しさに包まれていた。
それは私達が入ってきたのと同時に失われたけど。


「山崎凛ってのは誰?」


……うそ、凛ちゃんのことまで知ってる。
一体芳賀さんはどこまで調べ上げたの?


「アタシだけど?」


可愛らしい雰囲気を纏った凛ちゃんの登場に、疎ましさが込み上げてくる。
そこでようやく芳賀さんから腕を離され、私は力なくその場に膝をついてしまった。