seasons.(シーズンズ)【完】

「ねえ冬香。ちょっと訊いても良いかしら?」


これから何が始まるのかと、期待や不安を抱いているクラスメイトのざわめき声をよそに、冬香の席の前まで着いたあたしが訊ねると、視線の先は本に向けたまま「話し掛けないで」と一言。
予想を裏切らない素っ気なさには、いい加減笑いが込み上げてくる。
本当に損な子ね。女は愛嬌って言葉を叩き込んでやりたいくらいだわ。


「いいわ、じゃあ勝手に話すから」


これも無視。
でもこれってプラスに捉えれば、話を聞いてくれるってことだと思わない?
行き過ぎたポジティブ思考を見くびってもらっちゃ困るわよ。

少し屈んでなるだけ目線を合わせてから、あたしは会話になっていない一方的な発言を続けるべく口を開く。


「アンタさ、昔仲良くしていた子に陰口叩かれてたんだって?」


冬香の長い前髪から覗く瞳が、僅かに見開かれたような気がした。