seasons.(シーズンズ)【完】

黙って様子をうかがっていると、ぱちぱちと数回瞬きをした冬香は、


「きゃぁぁあぁぁ!?」


叫び声をあげながら逃げるように走って行った。

自分の手にあるペットボトルに気付き呼び止めたものの、その声が届く前に彼女の姿は曲がり角に消えてしまい、正直僕にも何が起こったのか分からない状態だ。

とりあえずこれは部屋の冷蔵庫に保存して、明日返すことにしましょうか。

それにしても……久しぶりに冬香と二人で会話をした気がします。

二学期が始まってからというもの、まず二人きりになれることがありませんでしたから。

嬉しかったような、照れくさかったような。

……なんでしょう、この渦巻く気持ちは。

これまでとは何かが違う。

ほなみと重ねて見ているのではなく、一人の女の子として彼女を目で追っている気がする。

もしかしてこれが恋心というものなのでしょうか――?


「お~、アッキ探したじゃーん。つか何ボーっとしてんの?」


立ち尽くしていると、冬香が駆けて行った反対方向から金沢が現れた。


「いえ、なんでもないんです。それよりどうかしたのですか?」

「いやぁ、枕投げするから呼びにきたんさ」


何とも修学旅行らしい理由で。