seasons.(シーズンズ)【完】

以前芳賀さんでも似たようなシチュエーションがあった気がしましたけど、僕って近付いても気付かれないことが多いような?

存在感が薄いってやつか、はたまた隠密の素質があるのか。

どちらでも構いませんが。


「あっくんも飲み物買いに来たの?」

「ええ」


頷いて自販機を確認するが、


「――ですけど困りましたね。ここも売り切れですか」


どうやらあの商品はまたの機会にしろということのようだ。

やっと諦めがついたので、100%オレンジジュースにでもしようと財布の中から小銭を選んでいると、


「あ、あの、これ……今私がここで買ったのだけど、あっくんよかったらどうぞ!」


冬香が僕の目的の品を差し出してきた。

奇遇というかなんというか、冬香がこの自販機のこの商品の最後の購入者だったんですね。

せっかくの好意だったので、少し断りをいれてから僕はそれを頂くことにした。


「ごちそうさまです」


一口飲んで満足し、ペットボトルを返そうと冬香を見れば、顔を紅潮させたまま固まっていた。