seasons.(シーズンズ)【完】

「これあげるから!」


そう言ってナツは食べ掛けのきな粉アイスを差し出してきた。

こいつが好物のアイスを交渉品にするくらいだ(ほとんど残ってないがな)、相当本気らしい。

特に断る理由も無いし、俺としては一途に片想いしているナツの味方をしてやりたい。

多少強引な気もするが、せっかくの修学旅行にちなんで一肌脱いでやろうか。


「しかたねーな」

「てことは引き受けてくれるのね?」

「ああ」

「やったぁ!ありがとハル。じゃあ、はいこれ!」

「アイスはいらねー。特別無料で承ってやる」


はなから代価を取るつもりなんてないし、そんなラスト一口しか残ってないコーンの先っちょの部分だけもらっても嬉しくないし、ていうかそもそもお礼というお礼なんぞ貰ったことすらないし。

……あれ、待てよ。

それじゃこのきな粉アイスって結構価値の高いものなんじゃ?


「あ~ん」


最後の一口を口の中に放り込むナツ。

いや、別にいいけどよ。

下心的な意味は無しでちょっと損した気分だぜ。