seasons.(シーズンズ)【完】

「時間が無いの。あっくんも早くー」


時間が無い。

この言葉の真の意味に僕はまだ気付いてあげられていなかった。


「ね、あっくん。今でも二人乗りできるかな?」

「やってみますか?」

「うん」


ほなみが腰掛けたブランコに僕は足を掛ける。

幼少の頃に比べると窮屈なのは仕方がない。

僕達がちゃんと成長している証でもあるのだから。


「初めてあっくんと仲良くなった日のこと覚えてる?幼稚園のブランコ貸してもらったのに上手く漕げなくて、あっくんが二人乗りしてくれたの」

「覚えてますよ」

「懐かしいね。またこうすることができて本当によかった」


酷く残酷な笑顔だと思った。

こんな純粋で無垢な子がどうして病気で苦しまなければいけない。

なぜほなみを選んだのか問いただすため、病に喧嘩を売りたいくらいだ。

罪の無い彼女を救ってあげたかった。

だから僕は、


「ほなみ。僕は医者を目指すことにしたんです」


幼いながらも大きく持つことにした夢。