seasons.(シーズンズ)【完】

思えばこの時バスケ同好会への参加で涼人がいなかったのも、ほなみにとっては絶好のチャンスだったのだろう。

僕が押しに弱いと知っていながら、ほなみは意地でも自分の要求を飲み込んでもらうつもりだったらしい。


「じゃあ外で遊ばせてくれたらたくさん治す努力する!」


頬を膨らませていたほなみが思いついたように言う。

その時の表情があまりにも切実なものだったから、矛盾が生じているにも関わらず「仕方ないですね」と妥協した僕が馬鹿者だった。

もちろんこの時点ではそんなこと考えていない。

寧ろ呆れつつもこれがほなみのためだと信じて疑わなかったのだ。

ほなみは腕に付いていた治療器具の針や管を豪快に取り外し、さぞかし嬉しそうな満面の笑みを浮かべ、


「よぉし、れっつごー!」


意気揚々と声を上げた。

僕らは様々な人達の目を盗み、抜き足差し足忍び足で素早く移動する。

足音を目立たないようにするため、ほなみはスリッパを手に持っていた。

そして人気のない廊下の窓からこっそり病院を抜け出した僕達が着いた先は、病院から小路を何本か挟んだ先にある公園。

小ぢんまりした公園には、先客は家族連れが二組だけ。

色々な遊具がある中、ほなみはスリッパが脱げないようにしながらも、一目散にブランコへ向かった。