「それってもしかして去年の事故と関連してるのか?」

「え」

「あ」


やっちまった!

なーに抜かしてるんだ俺!

けしからんNGワードを自ら出しちまったじゃねーか!


「あ、ごめん、その、えーと……」


どう弁解すればいいかサッパリ分からん。

地雷を踏んだ俺が豪く動揺してうろたえていると、


「どうしてハルがそのことを知ってるの!?」


歩みを止めたナツは、かつてないほどにシリアスな表情で俺の瞳を捕らえた。

ていうかこれ、予感的中ってやつか?


「加奈ね。加奈しかいないわ!」

「ち、違う、木村はそこまで話して……」

「“そこまで”ってことは“どこまで”知っているのかしら?」

「あ」


おーい俺、墓穴を掘るにも程があるぞ。


「まったく、加奈ったら余計なことしてくれるわね」

「木村を責めないでくれ。アイツは俺のために、」

「別に怒ってるわけじゃないわよ。ただ、いつか自分の口から話そうと思ってたから先を越されてちょっと悔しいだけ」


いつの間にか到達していたソフトクリームのコーンの先をぱくり、と全て口の中に放り込み、唇を尖らすナツを横目に、俺はこの困惑の念をどうしようかと必死だった。

俺の脳内で、好奇心と自己嫌悪が激しく葛藤を起こしているのを知る由も無く、


「あれは去年のゴールデンウィークのことだったわ――」


ナツはおもむろに語りだした。