seasons.(シーズンズ)【完】

「駄目じゃないのー、ちゃんと書いとかなきゃ。東雲中学校は驚異的な傘のパクり率を誇っているんだから!名前書いておかないってことは“どうぞパクってください”って言ってるようなものなのよ」


なんだそれは。秩序が乱れすぎだろ。

だいたいそれは誇れることじゃないと思うんだが。

それは置いておくとして、だ。


「じゃあ俺はどーすればいいんだ?」


無記名の傘を探し出し、やられたらやり返すのルールに則って同罪を犯せってか?


「うーん、家どの辺だっけ?」

「四丁目だけど」

「なーんだ、一緒なのね」


ナツも四丁目なのか。知らなかったな。

席だけじゃなく家まで隣のよしみ、だなんて展開は勘弁してくれよ。


「途中までなら入れてあげてもいいけど?」

「でもよ……」

「もしかして恥ずかしい?初心ねぇ」


なんで上から目線なんだよ。

俺はお前のことを気遣って躊躇ってるんだけどな。

万が一進藤に目撃されて、誤解を招いたらどうするつもりだ。


「せっかくの青春だもの。一度は憧れる相合傘じゃない?」

「相手が進藤じゃなくても?」

「あー、そんなこと言うんだ?ならびしょ濡れになって帰ればいいわよ」

「ちょ、待ってくれよ!それは困る!」

「でしょ?」


焦る俺を横柄して面白そうに笑うナツ。


「通学路にコンビニがあったわよね。あそこのアイスがいいわ」


これが狙いかよ。