seasons.(シーズンズ)【完】




さて、今度こそ帰ろうと昇降口に行ったはいいが……おかしいぞ。

しっかり予報をチェックして持ってきた傘が置き場から姿を消していた。

確かにここに置いたはずなんだけど。

ま、100均の安物ビニール傘だからどいつもこいつも似たり寄ったりな物を持ってきてて、取り間違えたってところじゃないだろうか。

けどこの大雨を凌ぐ方法なんて他にないしな。どーするよ。


「あら、ハルじゃないの」


途方に暮れていると、今一番気まずい相手と鉢合わせちまった。

コイツはタイミングの悪さを見計らってるのか?

俺はな、あの話を聞かされてからというものの、お前を見る目が少し変わっちまったんだよ。

同情とかそんなんじゃなくてだな、なんつーか……お前の強さに心打たれた、って何言ってんだ俺。


「何キョロキョロしてるのよ?」

「持ってきたはずの傘が見当たらなくてさ」

「名前書いてた?」

「書いてねーよ」


小学生じゃあるまいし、傘如きに名前なんていちいち書いてられるか。