私が通う中学校の校舎裏には大きな桜の木が一本そびえ立っていて、その木には有名なジンクスが言い伝えされているそうだ。

それがなんと、あの桜の木の下で告白をした者は必ず恋が実るというから、青春真っ盛りの恋する少年少女は黙っちゃいないわけで。

なんでも桜の木には女の子と見紛うような容姿をした男の子の霊が宿っているらしい。

彼はここの卒業生らしく、当時好きだった女の子に告白できないまま事故死してしまったがために、呪縛霊としてこの地に留まってしまったそうだ。

ただ、自分の恋を実らせることができずに一生を終えてしまった彼が、未練晴らしのつもりなのだろうか、桜の木の霊としてみんなの恋を叶えてくれている、なんて根も葉も無いうえ随分とファンタジックな噂話がいつしかジンクスとなり、事実これまでにあの桜の木の下でフラれたものはいないという。

以上が部活の先輩から得た情報である。