試合後、桜夜くんに励ましも兼ねたメールを送ったのだが返信は無かった。

結果は残念だったけど頑張ってる桜夜くんとても素敵だった、なんて何の捻りも無い言葉じゃ、フォローになるどころかかえって気分を害する原因になってしまったのかもしれない。

こんな時気の利いたセリフが思い付かない自分の不甲斐無さに、後悔の念が押し寄せてきた。

勝ちたい勝負に負けてしまったのなら、いくら桜夜くんであれ落ち込んで当然だ。

何度も連絡するのも鬱陶しいと思われそうだし、明日学校でちゃんと面と向かって声をかけてあげよう。

そう決めて登校した月曜日。

一時間目が終わってから桜夜くんのクラスに向かった私は、一瞬自分の耳を疑ってしまった。


「曽根なら転校したぞ」


あまりにも唐突な出来事だった。

廊下から教室を覗きこんで桜夜くんの姿が見当たらないことを不思議に思い、ドア付近にいた男子に訊ねてみれば返ってきた言葉がこれだ。

私は口を半開きにしたままその場で硬直してしまった。

思考回路も停止しかかっている。