「麻倉も今から帰るとか奇遇だな」

「お、おつかれさま曽根くん……」

「せっかくだし乗れよ。行きは乗せてもらったから帰りは俺が漕いでやる」

「えぇ……」


今会いたくない人№1と言っても過言ではない人物の御好意に尻込みしてしまう私。

何がせっかくなんだよ、なんでここにいるんだよ、こんな暗くなるまで部活してんじゃねーよ。

フラれてからなんとなく気まずいから寺島よりはマシ……とは言い難いんだよなぁ彼が相手だと。

困ったな、なるだけ関わりたくないのに。相当目をつけられているっぽい。

ただよく考えてみたら乗せてもらえるということは、あの心霊トンネルを一人で通らずに済むわけで。

というかそもそも最初から私に拒否権なんてないのである。


「俺が乗せてやるって言ってんのに断ろうとしてるとか良い度胸じゃねぇか。こりゃ明日から麻倉はあのジンクスを覆した女として、学校中に名を轟かせることになるだろうなァ」

「是非お言葉に甘えさせて頂きますとも!」