ドロップ・ダスト【完】

「つまんねーから今度はこっち路線で突っ走るのもありかもな」
「ないわ」


即否定してやった。
あんな地球は自分を軸にして回っていると言わんばかりの俺様を好き好む女子がいたら、それは並々ならぬマゾヒストだろうに。
生憎私はそんな強烈な性癖を持ち合わせていないのだ。
それなのに雛沢がこんなことを言い出したから、私は先が思いやられる気持ちでいっぱいになった。


「そうだな。これから味気ない学校生活送るのもつまんねーし、仕方ねぇから村上を俺の彼女にしてやるか」
「はあああーッ!?」
「そしたら俺もお前も暇しなくなるじゃん?一石二鳥みたいな?」
「なにそれぇ……」


つまるところ自分の利益の為ではあるとは言え、みんなの期待に応えるべく一生懸命理想を演じていた雛沢と、今目の前にいる俺様・横暴・下品の三拍子が揃ったゲスな雛沢。
どちらが好きかって訊かれたら、コンマ一秒の隙も与えず前者だと即答するだろう。……以前の私ならね。

だけど今は、後者も強ち悪くないかなって思えるようになったんだ。
本性を露わにした雛沢と関わって、そんな奴が遂に思い切った姿を見て、なんだか私まで清々しい気分にさせられたせいかもしれない。