ドロップ・ダスト【完】




昼休みに馴染みの友達と一緒にお弁当を食べていた私。
母が作ってくれたシンプルなお弁当を頬張っていると、他のクラスの女子が教室に入ってくるなり、船木達とお弁当を食べている雛沢の方へ近付いていったのだ。
その手にはハートのシールで封をしてある可愛らしい封筒。最早見飽きた光景でしかない。
一時期は私も雛沢に手紙を渡そうと試みたことがあるのだが、今思うとおぞましい。
危うく封筒代やそれを綴る為の時間を浪費するところだった。

それにしても雛沢は一体今までに何枚ものファンレター兼ねラブレターを貰ってきたのだろうか。
バレンタインデーのチョコも合わせれば、トラック一台分くらいにはなったりして。
ていうかバレンタインチョコもゴミ箱直行コースだったのかな。

あの時ばかりは私もチョコあげちゃったんだけど、それを思い出すと途方もない虚無感が込み上げてくる。
そんな黒歴史を思い返しては肩を落とす私の視線の先で、恥ずかしそうに頬を染めている女子が、同行者に背中を押されながらも雛沢に手紙を渡していた。
どうせその手紙は後でゴミと同等の扱いを受けることになるとも知らず可哀想に。

密かに涙ぐむ私だったけれど、手紙を受け取った雛沢がいつものように偽物の笑顔でお礼を告げる様子が無かったことに首を傾げた。

……あれ、雛沢どうしちゃったんだろ。お雛様モードはどこへやら。
無表情のままの雛沢を訝しく思ったのか、手紙をあげた女子らも不思議そうに雛沢の顔を覗き込んでいる。すると雛沢がちらりと横目で私の方を見た。