ドロップ・ダスト【完】

船木曰く雛沢とは小学生の頃からの付き合いで、出席番号が近かったのをキッカケに親しくなり、入学以降ずっと同じクラスという腐れ縁っぷりを発揮しているらしい。
優れたルックスで元々異性から関心を引くことが多かった雛沢だが、なんせ性格がアレなものだから、人の文房具を勝手に奪ったり女子のスカート捲りをしたり、そんな奴を周囲は「外見だけ」と評価していたようだ。
ただ雛沢自身も置かれていた立場にさして不満はなかったようで、その時点では彼の身の回りには異性より同性の存在が圧倒的に多かった。

では雛沢があのような演技を始めたのはいつからなのか。
それは小学五年生の学芸会で行われた演劇が始まりだったそうだ。
役決めの際に単純にカッコイイからという理由で王子様役に選ばれた雛沢。
最初はそんな面倒なこと御免だと言わんばかりに練習をすっぽかしたりしていたけど、担任の先生から推薦言えど決まったことなのだから責任を持ってちゃんとやり遂げなさい、とゲンコツ付きで叱られたらしい。

担任はタフなオバサン教師だったそうで、実は雛沢の最も苦手なタイプの人間だったというのもあり、その日を境にしっかり練習に励むようになった。
そして本番が近付くにつれ雛沢はとあることに気が付いたのだ。
王子様役を演じている時の自分を、みんな褒め千切ってくれている。まるでアイドルのように持て囃してくれている。