ドロップ・ダスト【完】

「人のもの勝手に取ったら泥棒だって習わなかったの?」
「しらね。てか俺みんなのハート鷲掴みにして、既に恋泥棒みたいなものだし?」
「うわぁ、自分で言うのそれ……」
「だいたいこの俺と間接キスできるんだから、寧ろ光栄に思ってほしいくらいだぜ」
「引くわ」


一人称は僕から俺になるし言動は汚いし、つくづく別人すぎる。
二重人格じゃなくて意図的に使い分けてる辺りが、あざといしあくどい。

呆れた眼差しを送れば「見物料ふんだくるぞ」と苦虫を噛み潰したような顔をされた。
おいおい、そんな顔芸したらせっかくの美形が台無しですよ。
黙っていればルックスだけは良いんだから、そうルックスだけは。
倒置法を用いて強調したくなる程の事実である。

優れた外見とは裏腹に内面が最悪な雛沢を見ていると、神は二物を与えずって言葉が身に沁みる。
勿体ないよなぁ、さっきのバスケの授業でゴール決めてる姿は爽やかで凛々しかったのに。
もう少し素がマシだったら、ああやって演技しなくてもそこそこ人気者になれただろうに。