BEAST POLICE

環を乗せた車は、赤信号に引っかかって止まる。

「…ついて来てるね、さっきのバイクの男」

マネージャーがルームミラーを見る。

スタジオを出た所で待ち伏せしていた男は、アメリカンバイクを駆って環達を尾行していた。

ピッタリと車の後ろに付け、じっとこちらを見ている男。

「あのストーカーだけでも手を焼いているのに、もう一人…あんなヤクザみたいな強面の人が付き纏ってくるなんて…」

ノイローゼになりそうだ。

ポニーテールの頭を抱える環。

やがて信号が青に変わり、発進しようとした車は。

「!?」

突然飛び出してきた、フードを目深に被ったパーカー姿の男によって強引に止められた。

彼は手にしていたスプレー缶で、車のフロントガラスに黒い塗料を吹き付けて前を見えなくする。

そして、運転席でマネージャーがうろたえている隙に。

「きゃあっ!」

隠し持っていたハンマーで後部座席の窓を叩き割り、ロックを解除して環を引きずり出そうとする!