愛車であるフェアレディZ280で関東刑務所に乗り付け、内部へと足を踏み入れる倉本。

「……」

そこに既に大半の受刑者の姿はなく、殺害された刑務官と警官隊の遺体が放置されているのみだった。

(遅かったか…)

金縁のレイバン・ティアドロップフレームサングラスの下で目を閉じる倉本。

言うまでもなく脱獄だ。

彼の読み通り、鬼首のカリスマ性に惚れ込んだ多くの極道上がりの受刑者達は、鬼首にその命を預けるという行動に出た。

そして鬼首もまた、群れる事を嫌う半面、慕ってくる者、頼ってくる者は決して無碍にはしない。

それが、受刑者だったとしても。