BEAST POLICE

「お疲れ様でしたぁ」

撮影を終えて環がスタジオを出る頃には、既に夜だった。

マネージャーの車で送られて、自宅へと帰る彼女。

車に乗り込む際。

「…やだ…」

近くの電柱の陰に一人の男が潜んでいる事に気付き、彼女は小さく呟いた。

革ジャン、サングラス姿の20代半ばの男性。

アメリカンバイクに跨り、じっとこちらを見ている。

サングラス越しなので視線は見えないが、どことなく強面なその風貌は、チンピラやゴロツキを連想させた。

「またかい…?」

マネージャーが環を庇うように車の後部座席に乗せる。

「こないだの奴と違うね…新しいストーカーかな」

運転席に乗ったマネージャーの言葉に、環は表情を曇らせた。