二人並んで、深夜の街を歩く。

歌舞伎町は『眠らない街』『東洋一の歓楽街』『欲望の迷宮都市』。

この時間でもネオンが街から消える事はなく、多くの人々が行き交っていく。

ほろ酔い気分のサラリーマン、スカウトやホストによるキャッチ、怪しげな客引きやポン引きなど、合法、非合法取り混ぜて独特の雰囲気がある。

「おい」

歩いている途中、巽が客引きの男を呼び止めた。

「あ、巽さん、どうも」

ヘラヘラと笑いながら、巽に頭を下げる男。

「どうだ、最近は。極道のみかじめで揉めたりしてないか?」

「あ、はい、京阪神連合との抗争ん時はどうなるかと思いましたけど」

「店長に、あんまり客ボッタくるなって言っとけよ?」

「はい、伝えときます」

そんな会話を交わし、巽は客引きの男と別れる。