「こりゃあてめぇの逮捕どころじゃねぇな」

引っ繰り返った京阪神連合の構成員を見ながら巽が言う。

「ついて来い、一旦身を隠すぞ」

「あ?何言ってやがる」

鬼首が巽を睨んだ。

「京阪神連合の奴らが歌舞伎町に乗り込んできてるのに、俺にケツ捲って逃げろってのか?ウチの組員は、全員京阪神の奴らと戦争してんだぞ?」

鬼首の言葉は尤も。

極道ならば腹を括って、真っ向から勝負しなければ面子に関わるだろう。

組の代紋を掲げる組長ならば尚更だ。

しかし。

「鬼首會は潰れる」

鬼首の前で巽は言ってのけた。

「あ゛ぁんっ?」

鬼首が巽の革ジャンの胸倉を摑むが。

「冷静に考えてみろ」

巽は言う。

「鬼首會1千、京阪神連合は3万近い…戦争してどっちが勝つかなんて、ガキでもわかる計算だ」